時の制約

タイムスリップ

探索者たちは下記の年代に向かう可能性がある。
探索者たちが選んだ飛び先が多少のズレていても、【時の時計】の誤差を活用し、KP裁量で下記のタイミングに飛ばすといいだろう。

探索者たちが全く見当違いの推理を行い、下記とは違う時代・場所に飛ぶ場合は、推理の時点でKPからヒントを与えても良いし、与えずに飛ばせても良いだろう。

KPがこのタイムスリップの処理で、タイムパラドクスが起きないように深く注意をする必要がある。このシナリオのキーパリングの1番難しいところであると同時に、KPの腕の見せ所でもある。

探索者たちの予想不可能な行動に、KPは判断を迷うこともあるだろう。
しかし、その場合はKPの解釈で描写を進めてもらって構わない。
KPの解釈がそのゲームにおける正解なのである。

1987年に向かい、フサンの謎の七書を手に入れる

『貞本』から事情を聞いた探索者たちは1987年の『貞本』がタイムスリップする前の【貞本荘】には、【フサンの謎の七書】の第7巻があると推理し、手に入れようとするだろう。

1987年の【貞本荘】に行くと、貞本がタイムスリップをする直前(深夜)に着くことができる。『貞本』は自室におり、ロビーのカウンターの上には【フサンの謎の七書】の第7巻が置かれている。

その直後、『貞本』が2階から降りてくる気配がするため、探索者たちはどこかに一度隠れるだろう。
様子を見ていると、『貞本』は【時の時計】に入っていく。

【フサンの謎の七書】の第7巻を読むと、以下の内容と呪文が描かれている。
(7巻目は1時間ほどで読める)

【フサンの謎の七書(第7巻)】
かなりオカルティックな内容になっており、この本を読んだ探索者は1d3の《オカルト》技能を得る
「タイムスリップには[完全なタイムスリップ]と[不完全なタイムスリップ]が存在する。
タイムスリップをするためには【時の時計】の中に入り、転移したい場所と時間を指定すると、多少の誤差は生じるものの、転移するものの望んだ時間・場所にタイムスリップをすることができる。[完全なタイムスリップ]をするためには、タイムスリップ者の内の1人が【フサンの謎の7書】の7巻に記載されている呪文【完全な時間移動】をタイムスリップ時に唱え続ける必要がある。(目的の時間・場所ごとに1人唱える必要がある)。タイムスリップ時にMPが不足している場合、ランダムな時代に飛ばされる。【時の時計】の扉を外側から開けるためには【時計の扉を開ける】呪文を唱える必要がある」

【完全な時間移動】
【時の時計】によって時間移動を行う場合、この呪文を唱え続ける必要がある。
唱えるためには1MPを消費する。唱えている最中に狂気に陥った場合は唱え切った後に狂気に陥る。この呪文を唱えずに時間移動を行うと、その時間移動は不完全なものとなる。

【時計の扉を開ける】
この呪文を唱えると様々な時計の扉を開けることができる。ただし、その扉が魔術的な力で閉じられたものである場合は、この呪文では開かない扉もある。

1987年に転移した場合、下記の点にKPは留意する必要がある。

  • 『貞本』が本人と鉢合わせてしまうと『貞本』は消えてしまう。『貞本』が消えてしまうと2017年で探索者達が旅行の宿を見つけられなくなるため、 KPは『貞本』が鉢合うような行動をPLがとろうとした場合は注意を促す。
    それでも行動をやめない場合は、『貞本』は消え去り、探索者達の意識は暗転する。
    気がつくと探索者達は車の中にいる。【コスモスパーハイランド】の帰りの車中で、「宿が見つからなくて日帰りになっちゃったね」と会話をしながらそれぞれ帰路につくのである。

2007年の病院の火事現場に向かう

聡明な探索者なら、『奈々』がタイムスリップに失敗しなければ、『PC1』は火事で焼け死んでいると気づくだろう。すると、彼らは2007年に向かい、『奈々』の代わりに『PC1』を火事から救いに行くだろう。

探索者達が2007年に着くと【病院】は赤く燃え上がっている。
2037年で『奈々』を止めていなければ、そこには40歳になった『奈々』がいる。
探索者たちを見ると『奈々』は大変驚いた様子で探索者たちに話しかけてくる。

『奈々』に未来からきたことを告げると、以下の話をするだろう。

「私は未来からきたの。
昔30歳くらいの『PC1』さんが池で溺れかかっていた私を助けてくれてね。
『PC1』さんにどうしても会いたくて…お父さんの遺品の【フサンの謎の七書】の研究をして
20歳のPC1さんに【時の時計】を使って会いに行ったの。
でも、どうやら何かが足りなかったみたいね。
1日くらいしかその時代にいることはできなくて…
それから長い…長い間、時の狭間に閉じ込められてしまったの。」

その直後、大きく【病院】が崩れそうになる。
ここで探索者達が【病院】に突入しない場合は『PC1』を助けることができない。

探索者たちが『PC1』を助けるためには下記の判定を行う。

  • 病室を見つける
    まず突入した探索者それぞれが《DEX*5》で判定を行い、失敗すると1d3ダメージ。
    その後、《聞き耳》成功で『PC1』の声が聞こえる。
    《聞き耳》に失敗した場合はもう一度同じ処理を最大3回行う。
    (3回目の《聞き耳》は自動成功で良い)
  • 脱出する
    『PC1』を見つけた後、彼を担いで探索者達は脱出するには『PC1』を含めた全員が《幸運》で判定を行う。
    『PC1』が失敗した場合は、顔に火の粉が飛んでくる。(顔の傷が残る)
    『PC2』『PC3』が失敗した場合は1d4のダメージを負う。
  • 突入時に水を被るなどの対策をすることで、それぞれの判定に+20をすることができる。

また、脱出時に

  • <強制ロール>突入した探索者《目星》
    【病院】入り口の地面の剥がれた所に書かれている魔法陣を見つけられる。
  • 魔法陣に《オカルト》
    あまり詳しくはわからないが、何か火を模したものだとわかる。

病院から探索者たちが脱出すると、そこには『奈々』の姿はもうない。
(2007年でも24時間が経過し、【時の狭間】に飛ばされてしまう)

2007年に転移した場合、下記の点にKPは留意する必要がある。

  • 『PC1』が本人と遭遇しまった場合はともに消えてしまい、ロストとなるので、病院に入る前にKPは注意を促すこと。
  • 2007年に来る前に2037年で『奈々』を説得した場合、『奈々』は2007年に現れなくなる。そのため、探索者たちが分担して2007年と2037年に転移した場合は先に2037年の描写を行うこと。

2037年に向かい、奈々に会う

20年後のタイムスリップを行う前の『奈々』の元に向かい、彼女の時間旅行を止めることを探索者が試みることがあるだろう。

その場合は転移先の場所を【永見(ながみ)女子大学】もしくは【貞本荘】に指定する必要がある。

2037年の【永見(ながみ)女子大学】に行くと、タイムスリップ前日の『奈々』に遭遇することができる。『PC1』が彼女に自分の素性を明かし、彼女がタイムスリップをしないように説得することで、『奈々』はタイムスリップを断念するだろう。説得は《説得》技能で行っても良いが、RPで行ってもらったほうが盛り上がるだろう。

2037年の【貞本荘】に向かうと、タイムスリップ直前の『奈々』に会えるだろう。
処理は【永見(ながみ)女子大学】に飛んだ時と同様である。

また、同年代の【長岡邸】に探索者達が足を伸ばした場合、そこはすでに空き地となっている。2017年に火事で焼失したためである。跡地に《目星》を行うと昔【クトゥグアの召喚】を試みた際に使った魔法陣を見つけることができる。

2037年に転移した場合、下記の点にKPは留意する必要がある。

  • 『奈々』がタイムスリップをしない場合、2007年に火事の中から『PC1』を救う人間がいなくなる。探索者たちが2007年に飛び、『PC1』を救出しない場合は現代にタイムスリップをする際に『PC1』は消えてしまう。(ロスト)

1986年の貞本荘に向かう

心優しい探索者ならば、『貞本』とその死ぬ間際の『貞本の妻』を会わせようとするかもしれない。

1986年の病院に行くと、『貞本』と書かれた病室がある。
そこには息を引き取る直前の『貞本の妻』がいる。
『貞本の妻』は『貞本』は客がきたので宿に戻ってしまったと教えてくれる。

『貞本』をこの時代に残らせる場合は、1986年に存在する『貞本』本人と遭遇しない方法を探索者たちが彼に明示する必要がある。

1986年に転移した場合、下記の点にKPは留意する必要がある。

  • 【貞本荘】に向かうと1986年の『貞本』がいる。本人と鉢合わさせてしまうと『貞本』は消えてしまう。『貞本』が消えてしまうと2017年で探索者達が旅行の宿を見つけられなくなるため、 KPは『貞本』が鉢合うような行動をPLがとろうとした場合は注意を促す。
    それでも行動をやめない場合は、『貞本』は消え去り、探索者達の意識は暗転する。
    気がつくと探索者達は車の中にいる。【コスモスパーハイランド】の帰りの車中で、「宿が見つからなくて日帰りになっちゃったね」と会話をしながらそれぞれ帰路につくのである。
  • また、『貞本』が【フサンの謎の七書】を手に入れるのは『貞本の妻』が死去した後である。探索者達がこの時代で【フサンの謎の七書】を探しても、【貞本荘】にはない。
    どうしても探索者達がこの時代で【フサンの謎の七書】を見つけたいと言う場合は、探索者達に1つ歳をとらせ、1987年に描写を移しても良いだろう。

1970年のロンドンに向かい、タイタス・クロウと対峙する

探索者によっては、【時の時計】の謎を解き明かした男であるタイタス・クロウに会いに行くと言う者もいるだろう。その場合、ロンドンに向かうと【クロウ邸】に行くことができる。

しかし、『タイタス・クロウ』はすでに狂人となり、全身サイボーグと化しているため、探索者たちに襲いかかってくる。

探索者たちが彼から逃げるなら、【時の時計】に再び飛び込めば、自動成功で逃げられる。

彼と戦うのであれば、彼はその牙を向くだろう。
彼はサイボーグであるため、彼の《マーシャルアーツ》・《キック》・《回避》の技能値はそれぞれ99である。
そのため、探索者達は彼を物理的な力で倒すことは不可能だろう。
(一部の呪文を唱えれば倒すことはできるかもしれない。呪文の持ち込みについてはKPの裁量にお任せする)

『タイタス・クロウ』を倒すにはハウスルールのクリティカル・ファンブルでの即時成長ルールによって、彼を『人智を超えた人間』にすることで【時の時計】に吸い込ませることができる。しかし【時の時計】は彼だけでなく、彼の魔術的なコレクションも吸い込んでしまうため、探索者達はそこで何も見つけることはできないだろう。

現代への帰還

現代に帰還した探索者たちは、彼らのタイムスリップをした結果が現在に反映されているかを確かめるだろう。

  • 『奈々』のタイムスリップを2017年で阻止した場合、『老婆』の遺体はなくなっている
  • 『PC1』を 探索者たちの手で火事から救い出しており、『PC1』が脱出の際の《幸運》ロールに成功していれば、『PC1』の顔の傷はなくなっている。
    またその場合、『PC1』の記憶の中で彼を助けたのは探索者たちになっているだろう

その後、探索者たちは下記の行動をとる可能性がある。

2037年の『奈々』に[完全なタイムスリップ]をさせるため、【フサンの謎の七書】の第7巻を『長岡』に渡す

2037年の『奈々』に[完全なタイムスリップ]をさせるため、探索者たちが『長岡』に【フサンの謎の七書】の第7巻を渡すと、彼は受け取り他の巻同様、缶の中に保管をするだろう。

これにより、『奈々』は2017年に向かう際に[完全なタイムスリップ]をしてくる。
探索者たちが【貞本荘】に戻ると、そこには心配そうな顔をした『奈々』がおり、
「みんなどうしたの?昨日の夜から姿が見えなかったけど。『貞本』さんもいないし…」
と話しかけてくるだろう。

『長岡』避難させようとする

これまでの情報から、『長岡』が2017年12月4日に起こる【長岡邸】の火事で焼け死ぬと推理した探索者たちは、彼を避難させようとするだろう。

しかし、『長岡』は彼のオカルトコレクションを手放すことを拒み、かつオカルト的なセンスの欠落から、これから起きる怪奇的な火事を信じようとせず、どのような説得を行っても、彼を避難させることはできない。

『長岡』を彼の意思に反して、強制的に避難させると、燃えさかる我が家とコレクションを前に自殺してしまうだろう。
SANc1d4/1d8

『長岡』を彼の意思で避難させるためには、【フサンの謎の七書】の第7巻を彼に読ませる必要がある。彼は7巻目を読んだ事ををきっかけに、《オカルト》の才能に目覚め、自分のコレクションへの執着をなくし、探索者たちの言うことを信じるのである。

エンディング

本シナリオではタイムスリップした先と、その後の行動によってエンディングの分岐がある。

True END

  1. 『奈々』の願いを叶え、現代で20歳の『奈々』と『PC1』幸せに過ごす
  2. 『貞本』を1987年(1986年)に送り返す
  3. 『長岡』の火事による死亡を回避する
  4. 探索者全員が生存し、現代に帰還する
    上記すべてを満たすこと。
1.『奈々』の願いを叶え、現代で20歳の『奈々』と『PC1』幸せに過ごす

これを達成するためには以下の2通りの方法がある。

  • 『長岡』をフサンの7巻を持った状態で生存、もしくは死亡させる
    これにより、2037年の『奈々』は[完全なタイムスリップ]が可能となり、現代に存在し続けることが可能となる
  • 2037年の『奈々』に【フサンの謎の七書】の第7巻を読ませ、2017年12月2日に向けて[完全なタイムスリップ]をさせる
    これにより、『奈々』は現代に存在し続けることが可能となる
2.『貞本』を1987年(1986年)に送り返す

これを達成するためには、貞本を説得して1987(1986)年に送り届ける必要がある。

3.『長岡』の火事による死亡を回避する

これを達成するためには、『長岡』に【フサンの謎の七書】の第7巻を読ませ、生還させる必要がある。

【長岡邸】の火事に気がつかずに探索者たちが帰宅する場合は、【貞本荘】からの帰宅時に下記の描写を入れること。

「探索者たちが車で帰る途中、あなたたちは【長岡邸】で火の手が上がっているのを見つけるだろう。探索者たちが気がつくと、その屋敷は大きく崩れる。すると、辺りには消防車が駆けつけ、消防隊員が消火にあたるだろう。探索者たちは『長岡』の生存を祈りつつ、日常に帰っていくのであった。」

Good END

  1. 『奈々』に[不完全なタイムスリップ]をさせない

上記を満たすこと。

1.『奈々』に[不完全なタイムスリップ]をさせない

これを達成するためには『奈々』にタイムスリップをさせない、もしくはTrueENDの1の条件を満たす必要がある。

Bad END

  1. 『奈々』が[不完全なタイムスリップ]をする
  2. 2007年の『PC1』が死亡・消失する

上記のいずれかを満たすこと

1.『奈々』が[不完全なタイムスリップ]をする

『奈々』が[不完全なタイムスリップ]を行い、【ティンダロスの猟犬】に噛み殺されてしまう場合。

2.2007年の『PC1』が死亡・消失する

『PC1』を火事から救えず、ロストさせた場合。
また過去の自分に遭遇して消えてしまった場合。

Dead END

  1. ティンダロスの猟犬と遭遇する

全ロストとなる。

エピローグ(Good END以上の場合)

それから10年後。
『PC1』が地元の公園を散歩していると、近くの川で溺れている少女を見つける。

  • 少女を助けに飛び込む《水泳》
    成功すると、格好良く少女を助けることができる。
    失敗すると、自分も溺れるが周りの人たちが『PC1』と少女を助けてくれる。

笑顔でお礼を言う少女は、どこか『奈々』の面影があった。

 

報酬

SAN値回復

  • 探索者が生還する
    →1d6
  • 『PC1』と『奈々』が現代で幸せに生きる
    →1d6
  • 『奈々』に不完全な[タイムスリップ]をさせない
    →1d6
  • 『貞本』を1987年に送り届ける
    →1d3
  • 『長岡』を火事に遭わせない
    →1d3
  • 『タイタス・クロウ』を倒す
    →1d6
  • 『PC1』を探索者の手で救う
    →1d3

その他報酬

  • 2007年の火事からの脱出の際、『PC1』が《幸運》に成功している
    →『PC1』のAPP+1(顔の傷が消える)
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